保育士に戻ろう!保育士復職のススメ
今、世間を賑わせている待機児童問題。保育園に入園できない児童が多くいる一番の問題点は、実は保育士が圧倒的に足りていないのが理由の一つです。
どんなに多くの保育施設を作っても、児童を見る保育士がいなければ受け入れることができません。入所できなかった多くの保護者さんは、こんなにもたくさんの保育園があり、定員オーバーというわけでもないのに、入所させることができない現実に憤りを隠せない方も多くいます。
それは単純に保育士を増やせば、解決できるところも少なくないのです。
今回はそんな社会情勢だからこそ保育士さんの復帰のきっかけになるような情報をまとめてみました。
需要増!保育士への復帰考えてみませんか?
保育園は今、待機児童問題などの社会情勢も相まって、求人に物凄く力を入れています。保育士の為の転職サイトが多く見受けられるのもそのせいです。
保育士という資格を持っているだけで今や引く手あまた。何せ保育士1人入れるだけで、待機児童を一人でも多く入園させることができるわけですから。
内閣府は、総合的かつ長期的な少子化に対処するための指針として「少子化社会対策大綱」を策定しました。(平成27年3月20日閣議決定)
その中で、重点課題として、「待機児童解消加速化プラン」の推進、および「保育士確保プラン」の推進を掲げています。
- 「待機児童解消加速化プラン」の推進
・就労希望者の潜在的な保育ニーズに対応し、就労しながら子育てしたい家庭を 支えるため、保育所等の整備を始めとして、小規模保育、家庭的保育、事業所 内保育等の地域型保育事業の活用を含め、平成 27 年度から平成 29 年度までの 3年間で約 20 万人分(児童人口の減少等による定員減少を加味すれば約 21 万 人分)の保育の受け皿を確保し、待機児童の解消をめざす。
- 「保育士確保プラン」の推進
・「待機児童解消加速化プラン」による約 40 万人の保育の受け皿の拡充に伴い、 必要となる保育士の確保を図るため、処遇改善や人材育成を含めた保育士確保 プランを推進する。
出典:内閣府 少子化社会対策大綱(平成27年3月20日閣議決定)
こういった現状を考えれば、これから復帰を考えている保育士にとってはまさにチャンスです。以前とは違い、待遇がかなり違っているのを肌で感じる保育士の方も多くいらっしゃると思います。
・給料額は以前より改善されている?
しかし、そうは言っても闇雲に保育園を探すべきではありません。何故なら保育園によっては待遇面でかなりの格差が生まれているからです。保育園の給料も園によってかなりの開きがあり、様々な手当てを付けたり支給額を増やす園も多く見受けられるようになってきました。
内閣府による、保育所・幼稚園・認定こども園等に係る実態調査等の中間集計の状況では、以下のような結果になっています。
出典:内閣府 子ども・子育て会議(第29回)、子ども・子育て会議基準検討部会(第32回)合同会議
(平成28年12月5日(月)9:30~12:00 中央合同庁舎第4号館 共用1208特別会議室)
例えば、常勤の保育士さんでは公立で286,911円、私立で263,513円となり23,398円の差があります。
・ママさん保育士への理解
そして、何よりお子さんを持つママさん保育士に理解を示す保育園が少しずつ増えてきています。残業をなくす、持ち帰りの仕事を少なくし、保育士への負担を減らしているというアピールを率先して行う保育園が増えたことで、今、復職しようとしようと思っている方はとても応募しやすい環境になったとも言えます。
以前は考えられなかったことが保育業界で起きているのです。
経験のある保育士さんの復職のメリット
経験がある保育士さんというのは、保育園側からすれば、喉から手が出るほど欲しい人材と言えます。確かに地元に根付いた保育園運営をしていくためには、地元の新卒を雇用していくことも重要です。
しかし、新卒の保育士さんは現場に入ることができても、独自の保育園のルール、清掃や物の置き場所など覚えることが山積みで、そのために誰かが教育係として保育士が一人付かなければいけません(絶対ではありませんが)そして、何よりも保護者との信頼関係を得るためには数か月は要します。
・即戦力として活躍できる
そういった事を考えると経験がある保育士さんはすぐに即戦力と成り得るため、保育園側としては、新卒も中途も複数人募集しているところがほとんどです。児童をすぐに見れる保育士が一人増えるということは保育園側からすればメリットが大きいのです。
今、施設のキャパシティには何ら問題が無いにも関わらず、保育士が不足しているが為に児童を受け入れられない保育園が急増しています。経験がある保育士が復職するということは、即、待機児童問題を解消できる為の社会貢献に繋がっているとも言えると思います。
病気・うつ病などからの復帰でも大丈夫
保育士のお仕事は、体力と職場や保護者など人間関係と密接に関わっています。病気やうつ病になってしまい保育士をあきらめてしまった人もいるでしょう。
以前であれば、病気やうつ病で保育園を辞めてしまった保育士が復帰するのは、中々難しかったとも言えます。面接で正直に話してしまえば、「またうつ病が再発してしまうのではないか?」と、敬遠されてもおかしくありません。
しかし、ここ最近になってそういった傾向も薄らいできました。圧倒的に保育士が足りない現状では、そんなことを言ってられないという理由が一つ。
・変化しつつある保育士業界への認識
そして、何よりも保育園業界が保育士一人にかかる膨大な負担に理解を示すようになり、そういった精神的な病気も、むしろ保育業界側に原因があるという認識に変わりつつあるからです。
今のこの現状なら面接時にはそういった病気のことは素直に伝えるべきだと私は思います。フルタイムで働くことがキツいなら、パートでも可能かは聞いてみるべきだし、労働時間について質問することは何ら問題ありません。
面接の段階で理解を示せない保育園は、現場に行けば更なる負担増になることは間違いありません。これだけの求人がある現状で、何も一つの保育園にこだわる必要はないのです。
・復帰しやすくなっている?
保育士一人にかかる負担は未だに大きいと言えますが、その負担を工夫してどんどん減らす保育園が増えてきています。例えば、保育が終わってからやっていた会議を、先生達でシフトを組み、昼に会議をやったり、事務作業をローテーション制にするなど、以前とは違い保育園の労働環境が著しく改善されています。
まだまだとも言えますが、以前に比べれば保育園側が保育士に対しての負担に理解を示すようになったことは、とても復帰しやすくなったとも言えるのではないでしょうか。
保育の経験者であることを最大限アピールしよう
これは、保育士に限ったことではなく、どんな職種であっても復帰する時というのは、もう一度この仕事をやりたいんだ!という強いやる気を見せなければいけないのは当然です。
そして、保育士が復職する場合の一番大切なポイントは「保育に対しての思い」をいかに強くアピールできるかが重要です。これはすでに保育の現場を経験しているあなただからこそ言えるアピールポイントです。
雇用する側は現場から長く離れ、またハードな保育の仕事に戻れるか?を、判断材料として見ています。しかし、実際にそれは働いてみなければ分からないのです。だからこそ、保育に対しての強い思いがあるかどうかを雇用する側は見ています。
もちろん保育に対しての思いだけでは駄目です。あなた自身が復職するに当たり給与面、労働時間等も面接時に言わなければいけないことは多々あると思います。
今は保育業界は売り手市場です。多少の事は大目に見ても、あなたのアピール次第で、保育園側が条件を歩み寄ってくることも多々あります。それだけ、今は保育士は貴重な存在なのです。
復職の決意、無駄にしないために
・最適な職場探しのコツ
復職しよう、もしあなたが決意をされたのであれば、次は自分の求める条件に沿った保育園を探さなければなりませんね。
一体どうやって職場探しをするべきなのだろう?…そんな時には、近年急速にサービスが広がっている「保育士専門」転職・求人サイトを活用することをお勧めします。
求人を条件を絞って検索できますし、保育士専門であれば専門のアドバイザーが親身に職場探しの相談に乗ってくれます。完全無料なのもうれしいところですね。職場探しはプロに任せてしまったほうが効率的かもしれません。
ブランクがあっても大丈夫!保育士に復帰、転職するために考えるべきこと
保育士の資格は持っているけれど、保育士の職には就いていない人の事を「潜在保育士」と言います。その数は68万人ともいわれていますが、保育士資格保有者の実に6割にものぼるそうです。
潜在保育士の中に、一度は保育士としてデビューしたけれどいろいろな事情(結婚や出産、体力面・人間関係など)でその職を離れた人がたくさんいらっしゃいます。
そういった潜在保育士で、復職したいなと思っていても、「ブランクがあって不安…」と感じている方のために保育士に復帰する方法をご紹介します。
ブランクの不安ポイント
ブランクがあることで保育士復帰に二の足を踏んでいる方が感じている不安ポイントとはどういったことでしょうか?
体力面は大丈夫か?
経験された方はご存知だと思いますが、保育士の仕事は重労働です。
復帰はしたいけれど、ちゃんと勤まるのだろうか?
子育てを終え、ある程度年齢を重ねた人や、10年以上のブランクがあるといった方は特に不安なのではないでしょうか?
今の保育についていけるのか?
今の子どもたちって昔と違うのでは…
子育ても昔と変わってきているし、以前の保育内容が通用するのか…
そういった不安をお持ちの方も少なくないのでは?現場を離れていたブランクの期間が長ければ長いほどその傾向は強くなるかも知れませんね。
人間関係
例え年齢が上で、経験年数も豊富だとしても、復職すれば現役で勤務している若い保育士さんが先輩になります。
うまくやっていけるのだろうか…と感じるのも自然なことです。
また、最近は保護者からの要望やクレームが過激になっているともいわれていますが、そういったことへの対応にも不安を感じる方もいらっしゃると思います。
それでも、もう一度やりたい!
保育士として復帰することの不安はあるけれど、それでもやっぱりもう一度保育士として働きたい!
そう感じている方はたくさんいらっしゃるようです。
一度保育士を辞めて家庭に入ったり、他業種に転職したりといったことでブランクがあったけれど、もう一度保育士に戻ろうと決めた理由を、実際に復帰した方のお話からいくつかご紹介します。
- 出産を機に退職したけれど、子どもの手が少し離れたころからやっぱり小さい子どもたちに関わる仕事がしたいと思うようになり、パートで復帰。
- 保育士として2年ほど勤務したけれど、経済的に厳しいので一般企業に転職。でもやりがいを感じられず保育士に復帰。大好きな保育の仕事に今は満足。
- 自分が母親になって初めて待機児童問題を実感。働くに働けないお母さんの悩みに直面し、少しでも役に立ちたいと保育士に復帰。
空白
大変な仕事なのはもちろんわかっているけれど、保育の仕事が好きだから、子どもが好きだから保育士に戻りたいという人が多いようです。
保育士に復帰しよう!需要の大きい「潜在保育士」
待機児童を解消するためには保育士の数が足りていないと社会問題化する昨今、保育士の需要が高まっています。事実、保育士の求人は転職サイトでもかなりの数が掲載されています。
どこの保育園も人手不足が慢性化し、そのことでまた現役保育士さんに負担がかかる結果になっています。
新卒の保育士は年度初めにしか採用されませんし、すぐに戦力となるわけではありません。その点、一度保育士として勤務していた潜在保育士はブランクがあるとは言え、即戦力となり得る人材です。
人材不足の保育業界にとって、「潜在保育士」は貴重な存在と言えるでしょう。
むしろチャンス!アピールできることは?
何度も言いますが、今保育士という人材を補給することが急務だと言われています。
それだけ需要が高まっているのだそうです。
だからこそ今、保育士に復帰するチャンスです!
ブランクがあるのは不安だと思います。でも、そのブランクの間に例えば「子育て」をしていたとしたら、その期間はむしろ保育のスキルにプラスな経験になったのではないでしょうか?
独身の頃より、子どもや保護者の気持ちが分かるようになっていませんか?
保護者の視点から見れば、子どものいる保育士さんには親しみを感じたり、頼りになると思ったりするのではないでしょうか?ブランクはむしろメリットになるかも知れません。
ブランクがあっても大丈夫!①勉強法、研修について
保育園が人手不足で引く手あまたなのは分かったけれど、ブランクがあったからうまく復職できるか不安…確かにそうですね。
そこで、保育士復職に向けてできることをご紹介します。
・自治体のセミナーを活用する
復職で不安に感じることは、今の保育現場がどうなっているのか?ということではないでしょうか?
「5年・10年前と保育は変わっているのでは…」
「昔のやり方は通用しないのでは…」
そういった方のために自治体が復職・就職の支援研修を行っています。
内容は各自治体によって違いますが、今回は東京都が28年度に行った「保育士支援研修」と「保育士就職支援セミナー」からご紹介します。
- 就職支援研修・就職支援相談会(年6回計600名)
現役保育士の話や、最近の保育事情といった話と就職相談会。近い将来、保育の現場で働きたい人向け。
空白
自治体が待機児童解消のために行っているこういった研修やセミナーを利用するのも、保育の今を知る手掛かりになりますので利用しない手はありません。
ブランクがあっても大丈夫!②志望動機、面接対策
復職・就職する意思が固まったら次は求人に応募するわけですが、履歴書や職務経歴書を保育園などの施設に提出します。この履歴書や職務経歴書、さらには面接の際に皆さん悩まれるのが「志望動機」です。
「子育てが終わって暇だから…」ではやる気が疑われますよね?具体的な質問としては、
「何故復帰したいと思ったのか?」
「きっかけは?」
とよく質問されます。
子育ての経験を活かす
この場合、
「子育てを経験して、改めて保育にやりがいを感じた」
「子どもを持って、子どもの成長や発達のお手伝いが出来る保育という仕事のすばらしさを再認識して」
という答えがいいのではないでしょうか?
積極性をアピール
他にも
「最近の待機児童解消のために自分も何かできるかもと思い立って」
「一度は保育を離れたけれど、やっぱり子供に関わる仕事がしたくて」
といった回答は積極性を感じさせるのではないでしょうか?
その他の注意点
志望動機以外に面接でよく聞かれることですが、「あなたの長所・短所は?」という質問があります。短所もしっかり把握していて改善する努力をしていることを伝えましょう。
面接では、明るい印象を与えるようにし、ハキハキしゃべりましょう。と言っても、話がダラダラ長いのは印象が悪いので、「簡潔に分かりやすく」を心がけましょう。
さらには、こういった保育がしたいといったこと(もちろん応募する園の保育方針と一致していなければいけません)も伝えればかなり好印象ではないでしょうか?
正規職員?パート職員?復帰後の働き方
ここまでは復職するための準備についてご紹介しましたが、実はもうひとつ復職に際して大事なことがあります。
就業形態、つまり正規職員なのかそれともパートやアルバイトの非正規雇用なのかということです。
出産を機に退職した人が、子育てが一段落したので復職する場合など、育児や家事の時間も必要なので正社員としてフルタイムで働くのはちょっとキツイかも知れません。お子さんがまだ小さかったりしたら、突然熱を出したりして急に休まなければいけなくなることもあるでしょう。
そういったことを考えると働きやすい時間にパートで勤務するといいかも知れません。他にも、派遣なら残業も持ち帰り仕事もありませんし、正社員のように責任が重くのしかかるようなこともありません。
正社員より気軽に働けるかも?
転職サイトを活用しましょう!
正社員、契約社員、パート、アルバイト…
どういった就業形態を選ぶにしても、まずは働く保育園をみつけなければ始まりません。
近くに良さそうな保育園がある!というならそれでかまいませんが、お給料や休日などの待遇面や、福利厚生といったことも仕事もしていくうえでとても重要なことですから、しっかり把握しておきたいところです。
そんな時に利用すると便利なのが保育士専門の転職サイトです。
パソコンやスマホで気軽に求人が検索できますし、無料登録すれば非公開の優良な求人も閲覧できます。さらに、コンサルタントやアドバイザーに、希望する園の特徴や条件を相談して、アドバイスしてもらうことも出来ます。
【保育士の給料】なぜ低い?公私別・年齢別・職種別・都道府県別で比較
「待機児童問題を何とかして!」という世論に後押しされて、国政の場でも保育士の処遇改善が議論されるようになりました。
そのぐらい、保育士の年収・給料は低水準なのでしょうか?
「私たち保育士ってそこまで薄給なの?」とお嘆きの現役保育士さんや、「そんな低賃金で働かなければいけないの?」と不安になっている保育士予備軍の皆さんのために、保育士の平均年収・給料の本当のところを徹底リサーチしました!
そもそも保育士の仕事とは?
まずは、保育士ってどんなお仕事なのか?といった基本情報からおさらいしましょう。
保育士が働く現場は、保育園・子ども園以外にも児童養護施設や企業内保育園などいくつかあります。そしてそのお仕事の内容は、「保育」と一括りにしてしまうには忍びないほど多岐にわたります。
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- 身の回りの世話
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- 基本的な生活習慣を身につけさせる
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- 年齢に見合った成長をサポートする
- 集団生活で自律性や社会性を養う手助けをする
といったことが子どもに関わる業務内容です。この他にも、保護者に子どもの様子を伝えたり、子育てのアドバイスをしたりすることも必要です。
さらに、イベントや行事の計画や準備も大事な役割です。時には残業や、仕事を持ち帰らなければいけないことも多いようです。けっこうハードで大変なお仕事ですね。
保育士の平均年収~公私別~
では、保育士の平均年収はいくらぐらいなのでしょうか?
・私立保育園
平成28年賃金構造基本統計調査によると、保育士(女性)の平均月額給与は221,900円となっています。ボーナスは584,200円で年収に換算すると、3,247,000円です。
調査対象の平均年齢は36.3歳となっています。保育士は離職率が高く、長く勤務する人が少ないことを表しています。
ここで平均年収をご紹介した保育士は私立保育園や児童福祉施設に勤務する人が対象で、公立保育園に勤務する人は公務員となるので調査対象外です。
・公立保育園
公立保育園の保育士の平均年収はそれ以外の保育士の約2倍になるそうです。
公立保育園の保育士は「公務員」ですから昇給率が高く、産休・育休も私立保育園の保育士さんと比べるとしっかり取れるので離職率が低く、平均年齢は高めになっていることがこれだけの差につながっているようですね。
保育士の年収平均~年齢別~
「私と同じぐらいの年齢の保育士って、どのくらいお給料をもらっているの?」といった素朴な疑問や、「年収がこれぐらいになるには何年ぐらいかかるんだろう?」という不安を感じている人もいらっしゃるでしょう。
そこで、年齢別の保育士の年収をご紹介します。
これは女性の保育士のみの統計調査となります。やはり昇給率はかなり低い水準と言わざるを得ません。調査対象数はやはり年齢が上がるごとに減少していき、離職率の高さを裏付けているようです。
・新卒や20代の年収は?
前項で述べたように、20~24歳の保育士さんの平均年収は2,679,300円。とても高給とは言えませんが、初任給は一般企業とさほど変わらない額です。
ただ、保育士さんはあまり昇給しないということと、結婚出産などで退職あるいは休職する方が多いので、年収統計の基礎となる平均年齢が低くなっているので、平均年収が低くなっていると思われます。
かなり重労働なのにこの年収ではやっていけない!と他職種に転職する人も多い上、そもそも保育士資格を取得しても保育士にならない「潜在保育士」も多いのです。
一例として、20代女性の保育士さんで考えてみましょう。各種手当を含んだ月給が16~19万円くらいで、ここから年金や税金保険などが引かれていくと、手取りは14~17万円となります。
割に合わないと感じる人がいるのも、もっともな話です。
地方から上京して、ひとり暮らしをしながら保育士を続けていたある保育士さんに、「東京なら、もっとお給料が高いと思って上京したのに全然変わらない。これでは地元で親元から通っていた方が楽だった…。」と嘆く方がいらっしゃるのも分かりますね。
保育士の平均年収~他種と比べて~
では、他の職業の方と比べると、保育士の年収は高いのでしょうか?それとも低いのでしょうか?先程の平成28年賃金構造基本統計調査を基に比較してみましょう。
保育士さんと同じ、人のお世話をする仕事の一つである「福祉施設介護員」の場合、平均年収は3,113,900円で保育士さんとおおよそ同程度です。
一方で、保育士さんと同じく重労働とされる「看護師」は、4,795,000円とかなり高給になっています。
IT関連では、一般に認知度の高い「システムエンジニア」で4,824,400円と、保育士さんの平均年収の約1.5倍です。
接客・販売業の販売店店員(百貨店を除く)は、2,723,100円とかなり低くなっています。
他の職業の年収と比較した結果、保育士さんは国家資格で専門職ではありますが、それほど高収入ではないということが分かります。全職種平均より、月給で10万円ほど低いですね。
保育士の年収平均~都道府県別~
保育士の年収は、勤務する地域によっても多少変わってくるようです。そこで、都道府県別の保育士の平均年収を比べてみましょう。
ここでは男性・女性に分けず、全ての保育士の平均年収を調べてみました。
都道府県別の年収で見ると、愛知県が一番の高給となっています。逆に一番の薄給は鳥取県となっています。
物価・地価によっても差が出ますし、なにより都道府県の保育政策の違いが大きいのではないでしょうか?
処遇の違いが離職率にも影響を与えて、平均年収が変化する要因になることも考えられますね。
保育士の給料はなぜ安いのか
重労働だけれど、とても重要なお仕事で、夫婦共働きが当たり前となった現在の日本にはなくてはならない職業の保育士さん。
ニーズはたくさんあるのに、なぜ保育士さんの給料は安いのでしょうか?
・日本の歴史との関係性
もともと日本の社会では、「子育ては母親がするもの」という考えがあり、他人にお金を払ってまで、子どもを預けて女性が働くことを良しとしない風潮が、つい数十年前までありました。
そういった風土・文化が、現在でも保育士という仕事を軽視する一因になってしまっているのです。
・運営は社会福祉法人のみだった
さらに、保育園が最近まで社会福祉法人のみで運営されていたことも、少なからず影響しているかも知れません。
2000年以降は社会福祉法人だけでなく、株式会社などにも門戸が開かれましたが、この規制緩和も保育園「運営」を保育園「経営」に変えたことで、人件費削減に拍車をかけてしまったという面があるのかもしれません。
今後、保育士の給料は上がるのか
「保育園落ちた日本死ね!」というブログ記事に端を発した「待機児童」論争から、保育士の劣悪な労働環境と低所得の問題が、ようやく世間の注目を浴び、保育士の処遇を改善しようという動きが活発化してきました。
国が目標とした処遇改善は4年間で約7%、月額で21,000円程度のアップが進んでいるようですが、まだまだ十分な状態とはいえません。
・東京都の処遇改善手当
東京都のように、自治体独自でさらなる処遇改善手当の支給を打ち出したところもありますし、副主任保育士と専門リーダーという新しい役職を新設し、中堅保育士の給料をアップするという計画を発表されました。
ただ、この処遇改善手当も直接保育士さんに支給されるわけではなく、保育園に支給されてその配分は保育園が決めるというシステムなので、あまり処遇改善の恩恵に浴していないという保育士さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
諦めるのはまだ早い!年収・給料アップのために
給料が安いとは言っても、全ての保育園が薄給というわけではありません。保育士の需要の増加を受けて、給与額を改善して保育士を呼び込もうという努力が多くの園で行われています。
でも、どうやってそのような職場を探せばいいのかわからない…
そんなときは、保育士専門の求人サイトや転職エージェントに登録することをお勧めします。今では、プロのアドバイザーが保育園の状況を調べて、給与額や勤務形態など希望に沿った園を探してくれるところが多いのです。
あなたの「処遇改善手当」は十分ですか?保育士の給料と「手当」事情の現実
2018年2月初旬、ネット上で話題になった、千葉県松戸市の保育士さんへの手当のことはご存知でしょうか?
話題の「松戸手当」とは?
「やさシティ、まつど」というフレーズが目を引く松戸市のホームページによると、
- 新卒の方向けに、就職費用の補助(保育園経由、100000円が上限)や家賃補助(月30000円が上限)
- 1年目から12年目の方に45,000円、13年目から20年目の方に46,000円から72,000円の給料上乗せ(松戸手当)
という大変積極的な補助が受けられるそうです。(全ての園で行われるわけではないようなので、ご注意ください)
保育士の待遇が問題になっている中、このような自治体の取り組みが注目を浴びるようになっています。というわけで、今回の記事では保育士の「処遇改善手当」の取り組みや現状を解説します。
露呈する保育士の給料の低さ
保育士の給料の低さ、冷たい待遇が注目を浴びるようになってきたのは、近年の待機児童問題が大きく関係している様です。
実際、転職したい、辞めたい…と考えていらっしゃる方の大半は「仕事に見合った給料が出ない」という不満を抱いているのではないでしょうか?
よくニュースなどでは全産業の平均と比べる年収が160万近く低いなどと言われていますが、実際のところどうなんでしょうか?保育士に対する賃金が果たして適切なものなのでしょうか?「手当」について、詳しく見ていきましょう。
保育士の手当【園によるもの】
給料の内訳は基本給と各種手当からなるわけですが、残念ながらどの園でも基本給にはさほど変わりありません。(公務員保育士は省きます)。大きく給料に違いが出てくるのが手当の部分になります。
・特殊業務手当
手当の中で主なものの一つとして「特殊業務手当」というものがあります。
これらは保育園の行事やイベントの際の前日の準備や夜遅い時間での打ち合わせなど、普段の保育とは違う負担が発生するため、特殊業務手当という名前での手当をもらえます。
・資格手当
また、保育士である資格を保有していることに対しての「資格手当」というのものが発生する保育所もあります。
保育所自体が様々なサービスや職種を付随している場合、保育士であることへの手当として支給されることもありますが、この手当を付けている保育所に関しては非常に稀です。
・その他の手当
それ以外に細かいところで言えば、「研修手当」、「被服手当」、「通勤手当等」、「住宅手当」等もありますが、保育所によって支給の有無、額にバラつきがあります。
保育士の処遇改善手当【国によるもの】
保育士の給料の中で一番大きい手当として、「処遇改善手当」が給料に加算されている方も多いと思います。保育士の待遇を改善して、より多くの保育士の確保・離職防止を図るための補助金が各保育所に支給されたものが処遇改善費です。
・もらえない処遇改善手当!?
しかしこれはそのまま保育士に渡るわけではありません。一度保育所を運営する経営者の元に入ってから、設備投資費などが引かれ後に保育士に渡る仕組みになっているので、保育園によっては、一切保育士の給料に反映されないところもあります。
この処遇改善費については、保育所によって取り扱いにかなり違いが出ているのが実情となっています。
特にこれから認定こども園になるため、条件を満たすための人材の確保、そして設備投資にお金をかけているところは、びっくりするくらい引かれた形で手当として入ってくることもあります。
しかし、この手当は本来は保育士の待遇を改善することで、人材の確保、そして離職を防ぐために使われるものでなければなりません。にも関わらず違った意図でこの補助金制度を利用している保育所も多いことから、調査に乗り出している自治体もあるようです。
今話題の都心の住宅手当【自治体によるもの】
昨今ではこの住宅手当を廃止している事業所も多いのですが、東京や横浜などの保育所ではこの住宅手当を支給するところが増えてきました。
東京の保育士の平均年収は全職種平均との相対比で全国で2番目という低い水準です。早急に給料を増やすために住宅手当を厚くする手段が取られました。
これは、他の県からでも保育士が来て欲しいという東京都や横浜の保育園の求人事情にあります。それくらい今は何処の保育園でも人材不足の問題が深刻化しているのです。
今後も続く?保育士の手当の改善
基本給自体が低いことから、今後も手当については改善していく必要があります。また、保育園によっては、この手当の支給額にかなりの差が出ていることも問題です。手当を増やせば今の待機児童問題がすぐに解決するわけではありませんが、間違いなく離職を歯止めするための一定の効果はあるはずです。
・アベノミクスは効果あり?安倍政権の対策
そして、これらの改善は、安倍内閣によるニッポン一億総活躍プランと相まって、かなりのスピード感を持って進んでいくことは間違いありません。
安倍政権のこの政策の中身には、
「50年後も、人口1億人を維持することで、経済の安定を図る」
という具体策が盛り込まれているわけですが、少子高齢化に歯止めをかけるために、希望出生率を高める必要があります。
具体的にこのプランでは希望出生率1.8と数値が出ているのですが、これだけの待機児童の問題が解消されていないので、現時点ではこの数値が自然に高まっていくことはありません。スピード感を持って、保育の受け皿を整備し、両親が安心して働ける環境を作らないことには、出生率など高まるはずがないのです。
その為には保育士の人材の確保は、最初に取り組まなければいけない問題です。
すでに具体策として、保育士の月給を2%引き上げるとともに、保育士としての技能・経験を積んだ職員については、追加的な処遇改善を行うとしています。
・本当に成功してるの?政策の実態
しかし、具体的に数値としては出ているものの、これはわずかな給与アップに留まります。
経験を積んだ保育士に対しては確かに魅力的な給料アップになるかも知れませんが、これから保育士を目指そうとする人にとって果たして2%の給与アップがどれだけの魅力として映るかは甚だ疑問です。
保育士は預かった子供を見るだけではなく、ケガさせないように安全に保育園生活を送るための重大な責任を伴う過酷な職種とも言えなくありません。
にも関わらず、全産業から見ても、これだけ低い平均年収、そしてサービス残業が常態化している現実。
この問題は国が率先して、早急な手当の改善を図ることが急務となっています。
手当が厚い保育園を見つけるためには…
ご覧の通り、国や園の処遇改善手当については、現時点ではうまくいっているとは言い難い状況となっています。
国の政策は私たちが今すぐ変えられるものではありませんから、せめてもの抵抗としてできることは「給料・手当の条件が良い」職場を見つけることですね。
これさえできれば円満退職!?保育士さんが退職するときの3つの注意点
保育士の仕事に憧れて勤めてみたものの、さまざまな理由で退職または転職を決意される方も多いことでしょう。
転職先の保育園が決まっている方は、新しい園での仕事への希望に胸がふくらむのと同時に、退職をどのように伝えたらよいかと迷うものですよね。
今回は、保育士さんが円満退職するために知っておきたい3つの注意点についてお話します。
注意点3つを時系列で列挙すると…
- 退職を決めるまで
なぜ辞めたいのか?転職先は?など「退職の意思確認」 - 退職を決意した後
誰に、いつ伝えるのか?退職後の準備は?「辞めるタイミング・伝え方」 - 退職承認から退職まで
書類や手続きは?挨拶やお礼は?「円満退職のために出来ること」
時系列に沿ってポイントを見ていきましょう。
保育園退職を決めるまで
・なぜ辞めたいのかをもう一度じっくりと考える
保育士さんが退職・転職を考える理由をいくつかご紹介します。
なぜ辞めたいと思ったのかをもう一度落ち着いて考えてみましょう。一時的な感情で、あまり深く考えずに辞めることを決めてしまうと、後悔する場合もあります。
大切なことは、転職先を決めてから辞めるかどうかで大きな違いがあることです。転職先がすでに決まっているのならば、収入の増減はあっても、収入が途絶えないので、今まで通りの生活ができるでしょう。
・事前の相談も大切
自分ひとりで抱え込んでしまい、結論を急いで後悔するといったこともよくあることです。まずは誰かに相談してみるのも大切です。
その際、同じ職場の同僚や先輩に相談するとただの悪口や陰口のようになってしまうこともあります。
退職の話が職場内で公然の秘密になってしまったり、園長の耳に入ってしまっていたたまれなくなってしまったりといったことも充分考えられます。
そういった事態を避けるために、職場以外の人、例えば家族や友人に相談してみてはいかがでしょうか?
学生時代の友人や先輩で同じ保育士の人などが適任かもしれません。
第三者の客観的な意見で冷静に考えてみて気持ちが変わる場合も無いとは言えませんので、相談してみても損はないと思います。
・転職の準備は早めに
転職先が決まっていないとなると、決まるまでの間は収入がないので、家賃や携帯電話代の支払いなどができなくなる可能性もあります。
そのようなことを避けるためにも、現在の職場にいる間に転職活動をした方がよいでしょう。
忙しくて転職活動ができないという人も多いかもしれませんが、インターネットで求人の情報を集めて、平日の休みなどに面接できるように予定をたてるとよいです。情報収集には、転職サイトに登録をして、コンサルタントに相談すると、希望の条件に近い求人を紹介してくれるので、時間を有効に使えます。
今すぐに転職という場合でなくても、保育業界に詳しく、また、さまざまなケースを知っているコンサルタントは、転職についての相談にものってくれますし、的確なアドバイスもしてくれます。
結婚や引っ越しなどで、現在の職場を辞める場合は、引越し先の保育園を探してみたり、正社員からパートタイムへと働き方を変えたりなど、自分のライフスタイルに合った職場探しを始めましょう。
退職を決意した後
・現職の保育園への退職意思の伝え方
退職は1ヶ月前に伝える
基本的には、卒園で子どもが入れ替わる年度末に辞める場合が多いです。
秋口から年末・年明けになると来年度の予定を聞いてくる園が多いので、退職意思を伝えるには最適なタイミングです。
しかし、どうしても我慢できないような事情があり、早く辞めたいのであれば、年度途中でももちろんOKですが、その際には少なくとも1ヶ月前、できれば2.~3ヶ月前に伝えましょう。
引き継ぎも2~3ヶ月あれば大丈夫です。
だれに伝えるか
退職届をいきなり提出するのはNGです。
本来ならば保育園の責任者である園長に伝えるべきですが、組織の順番としては、直属の主任に伝えるのが良いでしょう。
また、園によっては、運営する本部に伝える場合もあり、または、同じクラスを受け持つ保育士に伝えてから、主任に報告する方が良い場合もあります。
園内の人間関係により、伝える相手は異なりますから、だれに伝えるかは大切なポイントです。
伝えるのは口頭で
退職の意思を伝えるには必ず口頭で伝えましょう。
間違ってもLINEやメール、電話などで伝えるのは失礼に当たるのでやめましょう。
そのうえで、退職願や退職届を提出するのがいいかも知れませんね。
・現職に引き止められてなかなかやめられない…
退職の意思を伝えたときに、引き止められてなかなかやめられないケースがあります。
引き止める以上、これまでの仕事を評価してくれる言葉が出てくるはずですが、実際は、人手不足の保育業界ですから、園側の運営的な問題で引き止める場合がほとんどです。
人員不足を回避するために、言葉巧みに誘導してくるかもしれません。そのようなときの対処方法を考えておきましょう!
具体的な退職理由は厳禁
一身上の都合や、健康上の理由、家庭の都合など当たり障りのない理由を用意しておき、退職理由を聞かれたらしっかりと答えることです。
本当の退職理由が保育園での人間関係などの問題であっても、そのことについて具体的な話をしてしまうと、「その点は改善するから、まだ働けるよね」という話になりかねません。
感情論で説得してきても、割り切って無視する
「他の先生が困る」、「子どもたちが寂しがる」など、感情で訴えてきても、あなたの意思はもう固まっているのですから、園側がどう迫ってきても無視していいのです。
給与面で好条件を提示してきても退職の意思は貫く
引き止めの話がだんだん長引いてくると、給与面で多少良い条件を提示してくる場合があります。しかし、毎月の給与額がひとりの保育士だけ上がるということは、現実には厳しいですし、仮に上がったとしても、この先ずっと続くという保証はありません。
給与面で条件提示されても、退職の決意が揺らがないことが大切です。
次の仕事を決めてしまう
新しい仕事を決めてから、辞めることを伝える方法が最も有効です。
つぎの職場が決まっているあなた自身の辞める意思が強いのですから、何を言われても揺るがないでしょう。
退職承認から退職まで
・保護者と子どもへの伝え方
担任を持っているのなら、できれば年度末までは頑張りたいところです。
子どもたちにとっては大好きな先生がいなくなってしまうわけですし、保護者にとっても、ここまで子どもをみてもらったのに、急に放り出してしまわれるといい気持ちはしないでしょうから。
辞めることを保護者や子どもにもちゃんと伝えておきたいところですが、保護者や子どもに伝えるかどうかは園の意向を聞いたうえで決めましょう。
どちらにしても、子どもたちには変わらず笑顔で接してあげましょう。
・挨拶、お礼はしっかりと
いよいよ退職ですが、お世話になった園長・主任・先輩・同僚・後輩といった職場の人達にはちゃんと退職の挨拶をしましょう。
例えば、人間関係が原因で退職するとしても、一緒に仕事をした人には感謝を伝えましょう。
職員にお詫びや感謝の印としてお菓子などのお礼の品を持参するのもいいかも知れません。
やはりひとつのけじめとして「立つ鳥跡を濁さず」といった対応を心がけたいですね。
・保育士の円満退職へのポイント
退職を了承してもらったら、退職後にトラブルがないように、書類などをきちんと確認しておきましょう。
退職後、転職するなら必ず知っておくべきこと
退職のポイントはわかっていただけましたでしょうか?
上でも転職について触れました。今ではインターネットで多くの求人を探すことができるのですが、もしあなたがほかの保育園や保育施設への転職を考えているならば、一般の大手サイトを使うよりもおすすめしたい方法があります。
それは、保育士専門の転職支援サイトや転職エージェントを活用することです。
保育士専門であれば、その分野に特化したより細かい情報を得ることができますし、専門のアドバイザーが丁寧に最後まで就職をサポートしてくれるのです。
さいごに
退職の際の注意点について、いかがでしたでしょうか?
止むを得ず退職することになった時の参考になれば幸いです。
円満な退職をして、新しい職場で気持ちよく再スタートを切ってくださいね。
保育園・幼稚園の「園長」の仕事内容や役割は?やりがい、求人探しのコツも紹介!
今、保育園や幼稚園で働いている先生方、園長先生になりたいと思ったことはありませんか?
園長先生は、保育園や幼稚園の方針を決める、大変責任のあるお仕事です。それと同時にやりがいに満ち溢れるお仕事でもあります。
ここでは、園長先生のお仕事についてご紹介します。
園長の仕事内容は?
園長先生のお仕事は本当に多忙なお仕事です。「園長先生、いつもいないな~」と思ったことはありませんか?
園長先生は、園長会議などで地域の他園との交流や行政機関との関わりも多いため、外出も多いです。このように外部とコミュニケーションをとるのも、園長先生の大切なお仕事なのです。
園長先生っていったいどんなお仕事をしているのか、それは一言でいえば『園の経営』です。例えば、
- 給与額や経費などの管理
- 園内の設備の安全確認
- 毎日の給食の検食
- 保護者からのクレーム対応や相談
- 保育士の面接
など、あげたらここには書ききれないほどです。園が安全に、かつ、過ごしやすくするために、運営をしていくことがお仕事なのです。
園長職のやりがい・魅力は?
やりがい・魅力というのは日々子どもの成長とともに変わっていくものとも言え、完成形のないものです。そう思うと非常に大変そうに聞こえますが、自分一人ではなく、共に働く保育士さんたちとともに理想の園を創りあげていく事ができます。
子供たちが毎日笑顔で過ごせるような保育園を、自らの手で作り上げていくということはとても大きなやりがいに満ち溢れています。
また、一般の保育士・幼稚園教諭として働くより、仕事量は多いとはいえやはり給料が高めになることも魅力といえるでしょう。私立保育園の園長先生の年収は500万前後といわれています。
保育園・幼稚園の園長はこんな人に向いている!
では、園長先生になる人は、どんな性格や考え方の人が向いているのでしょうか。
まず大切なことは、どんな園を創り上げていきたいのか、《熱い気持ちとビジョン》があること。これが明確でないと、一緒に働く保育士たちがついてこられません。
そして、子どもたちのために、保護者のために、保育士のために、より良い環境を創り上げていけること。そのためには、《きめ細やかな心配り、気配り》が大切です。
また、保育園にはたくさんの子どもたちがいますから、時にはトラブルもあります。そんなときも、《冷静な対応》ができる人は園長先生に向いています。
一緒に働く保育士たちが安心してついてこられるような園長先生は、誰が見ても輝いて素敵ですよね。
園長になるための準備・経験は?
園長になるために必要なことは、認可保育園での経験があることです。
求人を見ていると、5~10年ほど経験を積んだ人の募集が多いようです。保育業界は、経験があればあるほど有利です。子育て経験があれば、一緒の働く保育士や保護者の方も安心ですので、一度退職した人でも園長先生になれます。
知っておきたい!効率よく園長職の求人を探すには
では、園長職の求人は、どこで探すのがいいのでしょうか?
まずは、手軽に、求人サイトなどを探してみてください。無認可保育園などは、よく目にします。
・転職エージェント活用のススメ
ハローワークで探すのも悪くはありませんが、ハローワークに求人を出すことは無料です。ということは、なるべく費用を削っているような、財政的に厳しい園である可能性があります。
そんなときには、保育士・幼稚園教諭専門の転職サイトや転職エージェントに登録することをお勧めします。無料ですし、厚待遇な非公開の求人を見つけることができるかもしれません。
転職エージェントを活用すれば、年収や福利厚生などについてプロのエージェントやアドバイザーが調べてくれますし、心強いことは間違いなしです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は園長先生のお仕事についてご紹介しました。
園長先生は、とても大変な立場ですが、その分やりがいも十分です。自分の信じる保育のやり方を追求して自分の園が持てたときから、また第二の人生が始まります。
将来を担う子どもたちが、安心して過ごせ身も心も成長できるように保育園がどんどん増えていってほしいものです。
それは1人ですべてできるのではありません。みんなの力があるからこそ、園はすばらしくなります。
もし、少しでも興味のある人は、求人を覗いてみてください。知っている保育園の園長先生を募集しているかもしれません。
次の園長になるのは、あなたかも?
理想の家庭的保育を!保育ママ制度とは?収入や資格、保育士との違い
「保育ママ」という言葉自体、今まで聞いたことがなかった人も多いかも知れません。保育ママとは、子供を預かってくれる保育園がない場合に、代わりに保育をする福祉員のことを指します。
そもそも保育ママ制度とは?
「保育ママ」という言葉自体、今まで聞いたことがなかった人も多いかも知れません。保育ママとは、子供を預かってくれる保育園がない場合に、代わりに保育をする福祉員のことを指します。
・正式名称は「家庭的保育事業」
保育ママ制度は2010年の児童福祉法改正によって、保育サービスの普及促進や子育て支援の充実のために「家庭的保育事業」として定められたものです。サービスの利用条件は、
- 保護者が一定時間以上就労している、傷病で療養している、就学していること
- 子供が3歳未満であること
となっています。東京の様に待機児童問題が深刻化しているにも関わらず、土地や周辺地域などの問題で新設の保育園ができにくい地域では、この保育ママの制度を利用して子供を預けているご家庭もたくさんあります。
(参考:児童福祉法等の一部を改正する法律案概要 -厚生労働省)
実はこの制度は全国に普及しているわけではなく、各自治体によっては無い場合もあります。保育ママを目指す場合は自治体の制度を確認しましょう。
・ベビーシッター、保育士との違い
保育士は主に保育施設で子供たちのお世話をし、ベビーシッターは主に子供の自宅に出向いて保育をします。一方、保育ママは3歳までの乳児を自宅で預かって保育をするという違いがあります。
保育ママとして働くメリット
・少人数の「家庭的保育」
保育園には、たくさんの子供たちと触れ合える等のメリットもありますが、保育ママには少人数だからこそできる保育ができるというメリットがあります。より密接に触れ合える保育ができるのも、保育ママの特徴です。
・今までできなかったことができるようになる
その喜びは何にも代えがたいメリットです。保育ママは幼児の一生を決めるとも言える幼少期に親の代わりとなって携わることができます。保育方法などはある程度の自由さがあるので、自分の保育方法は子供にすぐに出てくるはずです。保護者と一緒に喜びを分かち合うことで、保護者との信頼関係を深めていくことができるのは、保育ママのような少人数保育だからこそのメリットです。
自宅で保育ができるわけですから、自宅をより良い環境に整備してから保育することができるわけです。自分の理想とする保育ができるとも言えるでしょう。
保育ママとして働くデメリット・困難
保育ママは少人数の子どもを手厚く見てもらえるといういい点がありますが、ときにトラブルがあるようです。
・相性と信頼関係
少人数制だからこそ、保護者、子どもとの相性が大切になってきます。
相性が合わないと、こちらが大丈夫だと思っていたことでも相手はとても怒ったり、不信感を抱かれてしまったりすることもあるのです。
子どもを預けることは信頼関係のもとで成り立っているので、細かいことでも確認し、お伝えすることが大切になってきます。
また、仲の良いことは素晴らしいことですが、関係が慣れ合いにならないように仕事はきちんとおこなうように心がけるのがポイントです。
実際の仕事内容は?保育ママの一日
保育ママの一日の流れをご紹介いたします。
- 8:00 受け入れ開始
子どもたちの健康状態を視診しながら、お母さんから受け入れます。持ち物や連絡帳などのその日の確認も忘れずに行います。
- 9:00 おやつ、排泄、おむつ替え
一緒に歌をうたったり、手遊びをしたりします。午前中のおやつを食べ、排泄の時間、おむつ替えをしながら健康状態もチェックします。
- 10:00 外遊び
近くの公園へ遊びに行きます。交通安全に気を付けて出発です。気温に合わせた対策も忘れずにしましょう。
- 11:00 昼食
手洗い、うがいを済ませた後は昼食です。介助をしながら、どのくらい食べたのか、フォークとスプーンの使い方を少しずつ教えます。
- 12:00 午睡
食べ終わった子から、おむつも変えてお昼寝の寝かしつけをします。ゆっくり休ませて体調管理をしっかりしましょう。
- 15:00 起床、おやつ
起きた子から、おむつ替え、検温をおこないます。そのあとは、おやつの用意をしてみんなで食べます。
- 16:00 お遊び、お迎え
室内でダンスをしたり、おもちゃで遊んだり。けがのないよう安全に配慮し、見守ります。お迎えがきた順に、受け渡し、一日の様子をお伝えします。
もちろんこのような働き方をされる保育ママがすべてではありませんが、どのようなことをすればよいのかのイメージは持って頂けたでしょうか?
高収入?保育ママの収入は?
・収入は不安定?
保育ママは個人事業主という形になります。少人数での受け入れの為、いつも受託乳児がいるわけではありません。乳幼児が途中で、希望の保育園に移動することも多いです。つまり、年間を通して定収入ではなく、昇給もあるわけではありません。
個人事業主なので、やり方次第で収入を伸ばすことも可能ですが、純粋に子供の保育に情熱がある人でなければ続けられない仕事ともいえます。
・待機児童解消への期待?支援もあり
しかし、自治体によっては補助金で手厚く保護されてる地域もあります。特に東京都の江戸川区などや板橋区、地方では仙台市や札幌市など比較的人口が多い地域で待機児童問題が深刻化しているところは、保育ママに対しての理解が進んでいるともいえます。
- 東京都江戸川区の例
- 環境整備費
月額3万円(2人以上受託の場合には加算あり) - 保育補助費
月額乳児1人につき7万円
自治体によって違いはありますが、おおよそ一人預かるとしても月20,000円前後と土日なども預かってくれることを考えると、保護者にとってはとてもリーズナブルに利用できますが、一人が同時に幼児を3人預かることが限界ということを考えるとこれから保育ママになろうとしている方は、収入的にはあまり魅力を感じない方も多いです。
・自治体によっては高収入
しかし、江戸川区などの自治体で保育ママになるとすれば、ご家庭から預かる保育料の他に、補助金が一人につき7万円出ることになります。つまり、3人預かるとなれば保育料が
60,000+210,000=270,000円
となることを考えると、意外に高収入とも言えます。保育ママを目指すならこういった自治体で開業することも考えてみるべきです。
保育ママになるための条件
・資格は必要?
保育ママになる為の条件は自治体により全く違います。基本的には保育士、看護師、幼稚園教諭等の資格が必要なところもありますが、研修を受けることで自治体から認定を受けた場合には資格を持たなくても保育ママとなることができる地域もあります。
多くは、
- 25歳以上60歳未満(または65歳未満)で未就学児童がいないこと
- 同居に介護しなければならない人がいないこと
- 保持していなければ自分の子どもを育てた経験がある
- 自治体の決めた研修期間、条件をクリアーをしている
以上のような条件があります。比較的条件はそれほど厳しくないところが多いです。
油断大敵!保育ママの心得
子どもを保育するという仕事に就いている人は、みな共通して心得ておきたいことがあります。また保育ママとしても心得ておきたいことをあげてみます。
- 子どもと自分の健康管理をきちんとおこなう
これは、子どもを預かるうえで一番大切なことです。健康に安全に過ごせる場所でなければなりません。また、自分の身体が健康でなければ子どもを預かることはできません。当たり前のことですが、毎日元気な笑顔で子どもと過ごしましょう。
- 清潔感のある身だしなみ
子どもと接する仕事は、清潔感が大切です。短い爪、整えた髪型、適度な化粧、清潔な衣服、アクセサリーはなるべく控えましょう。
- 余計なことをしゃべらない
仲良い関係を築くのはとてもいいことですが、ほかの子どものことや家庭のことまで話すのはよくありません。また、子どものことをふざけて面白おかしく言うのも、思わぬトラブルになりかねません。きちんと意識を持って会話をたのしみましょう。
- 子どもの鏡になることを忘れない
子は親の鏡、という有名な言葉があります。子どもは恐ろしいほど親の言動を観察しています。
自宅で子どもを預かっていると、生活の延長になってきて慣れてきてしまうことがあります。どんなときも丁寧で優しい言葉使いや行動を心がけましょう。
さいごに
子供達や保護者との距離が近く、きめ細やかな保育ができるとも言える保育ママ。子供にとって自宅で変わらないような環境で、1日ゆっくり過ごせることは、保護者にとっても安心できます。
また、乳幼児は毎日の成長、新しい発見があります。昨日までできなかったことができるようになった時は、保護者とともに喜びを分かち合うことができます。子供が大好き、保育に喜びを見いだせる方は保育ママの仕事は魅力的ともいえるでしょう。