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保育士の給料・年収額の引き上げはいつ?政府の新たな処遇改善策と実態を解説!

「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログ、皆さんは覚えていますか?

あのブログに関しては賛否両論あると思いますが、待機児童問題や保育士の待遇改善が国政の場で議論されるきっかけになりました。

その保育士の待遇についてですが、昨年の衆議院議員選挙でも各党が公約に掲げていたこともあり、少しずつ改善されるのではないでしょうか?

とはいうものの、実際にはどうなっているのか?本当に給与はアップするのか?

これから保育士としてデビューしようとしている方や、保育士として活躍中の人、他の職種へ転職を考えているといった方は是非ご一読ください。

保育士の給料相場が未だ低い理由

理由①歴史的背景

保育士の給料は低いと言われますが、それにはいろいろな理由があります。

戦前の日本において子育ては一家の主婦の仕事であり、共働きの家庭でも両親や知人に預ける程度が一般的でした。

戦後、児童福祉法が制定されて保育園が正式に認可されてからも、保育の質は低く保育士(当時は保母・保父)の社会的地位も低く見られていました

そういった歴史的背景もあり、保育の質が向上して保育士の重要性度が高くなった現在も低賃金のままなのかも知れません。

理由②人件費を賄う資金がない

さらに、認可保育園の運営費は国や自治体の補助金保護者の保育料で賄われていますが、どの保育園も財政状況に余裕はなく必然的に保育士の給与は低く抑えられています。

そして、2000年の規制緩和で保育園の経営に営利目的で参入するNPO法人や企業が現れたことで、さらに人件費が削られるといったケースも出てきています。

こういった理由から、体力的にも精神的にも重労働である保育士の給与水準が低くなっていると思われます。

 

保育士の平均給与額から見る現実

実際、保育士の給与水準は他の業種の方たちと比べてどうなのでしょうか?

「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、

  • 保育士の月額給与・・・213,000円
    (公務員である公立保育園の保育士を除いたそれ以外の保育士の平均月額給与額)
  • 全産業の平均月額給与・・・304,000円

となっており、保育士の月給はほかの業種に比べて90,000円も低い額です。

ちなみに、一例ですが公務員である公立保育園の保育士は練馬区 職員数や給与の状況(2015年度の公表内容)によると年収で6,463,026円、それ以外の保育士の年収が3,233,400円なので、ほぼ2倍になります。

予想していたとはいえ、公立保育士とそれ以外の保育士との賃金格差はかなり深刻ですね。他の職種との比較でも低水準だと言えそうです。

保育士の給料引き上げはある?処遇改善策

このように大変低水準にある保育士の給料ですが、現在はどのような処遇改善策が実施されている、あるいは今後実施される予定なのでしょうか。代表的なものを見ていきましょう。

・政府の施策①2%引き上げ策

政府は、政策として待機児童ゼロの実現や保育士の処遇改善を打ち出し、2017年4月から全ての保育士給与を2%(月額約6,000円)引き上げるとしました。

(「たった6,000円?!」と思った方は多いのではないでしょうか?)

・政府の施策②新職種の設置

主任の前段階として「副主任保育士」「専門リーダー」という職を新設し、月額40,000円の給与アップをするとのことです。

ただし、誰でもなれるわけではなく、7年以上の経験4分野以上のキャリアアップ研修受講などが条件となっており、園長・主任を除く保育士の約3分の1が対象となるそうです。

・政府の施策③2兆円政策パッケージ

2017年11月21日には、安倍首相は2019年度から保育士や幼稚園教諭の処遇改善策を新たに施行することを表明しました。

これは、2019年10月から消費税率が10%に引き上げられる事を受けて、その増収分を財源にした「2兆円政策パッケージ」の一環となっています。

具体的にどれほどの額が給与に上乗せされるのかはまだ明らかではありませんが、保育士が増え、待機児童問題が改善されることが期待されています。

・東京都の施策

東京都の小池都知事は、平成29年度からキャリアアップ補助を21,000円上乗せするとの施策を示しました。これは政府の言う提示額を大きく上回り、保育士の給与を女性の平均に近づける大きな施策だといえるでしょう。

地方格差が生まれる可能性も…

全国規模の政策は良いのですが、特定の自治体で保育士が優遇される施策が実行されれば、地方との格差が今後問題となるのは避けられそうにありません。東京都の保育士だけが高給になれば、近隣の県の保育士が東京で仕事を探そうとするでしょう。そうすればますます保育士不足が深刻な地域が生まれてきてしまうかもしれません。

全ての自治体が、または政府がすべての保育士に対して処遇改善を徹底してくれるのが一番なのですが、今のままでは何とも言えませんね…。 

まだまだ現実は厳しい給料問題

具体化しつつある「保育士給与改善案」ですが、上で説明したようにまだまだ十分とは言えません。

公立保育士と私立保育士の賃金格差を是正する目的で私立の認可保育園に補助金が交付されています。

この補助金のうち「賃金改善要件分」についてはすべて職員の給与にあてなければいけないとされていますが、一律にアップするわけではなく誰にいくら加算するかは運営の裁量に任されているので、すべての保育士の給与が上がるというわけではありません。

先程の「副主任保育士」と「専門リーダー」を対象とした給与アップも、補助金の「賃金改善要件分」もベテラン保育士の給与を改善するための施策です。

賃金や労働環境の問題から保育士の離職率は高くなっていて、それもまた給与水準の低さを助長しています。

まだまだ現実には保育士の給与問題対策は十分とは言えません。

今より給料を上げるため…求人の探し方

保育士の処遇改善策(給与アップ)はまだまだ不十分…とはいえ、求職中の人は少しでもお給料の高い職場に就職したいと思うものです。

今、保育園で勤務しているけれどもっとお給料のいいところに転職したいと感じている方も多いのではないでしょうか?

そのためには給与アップが望める保育士求人を探すことが大事になってきます。そこで、高い給与が見込める保育園の求人を探すコツをご紹介します!

ハローワーク利用は少し注意

求人と言えばまず思いつくのが「ハローワーク」ですね。しかし、お給料の高い保育園を探すのならハローワークはあまり良い選択肢とは言えません。

ハローワークで求人をかけるのは基本無料なのです。つまり、求人にお金をかけない=人件費も削減ということかもしれません。

・求人、転職サイトを活用しましょう!

一方、登録や掲載が有料の「保育士専門の求人サイト」を通じて紹介してもらえるような非公開求人は、高給が期待できます。

保育士求人に特化したサイトであれば、専門のコンサルタントやアドバイザーに最初から最後まで相談に乗ってもらうことができます。完全無料で利用できるので、今よりいい職場をより効率的に探すことが可能です。

 

さいごに

今はまだ、保育士のお給料は低水準ですが、将来的には少し希望もありそうです。

政府の保育士処遇改善策を待つだけでなく、高給な職場を探す「積極策」に打って出るのも必要かもしれませんね。逆に保育士の皆さんによる積極的な働きが、政府や園の施策の良い圧力になるかもしれません。

私としては、保育士の皆さんに低い給料で簡単に諦めてほしくありません。

やっぱり子供が好き!保育が好き!だから。